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中部大学教授 武田先生の記事より

以下、武田先生による記事です。
テレビの情報を見るだけで安心するのでなく、自分で判断することが大事だと思います。


放射線の専門家に自重を求める




テレビ出られて福島原発の放射線について「安全だ」と言っておられる専門家の方に自重を求めたいと思います。
わたくしたち原子力の専門家は、原子力や放射線の正しい利用を進めるために、国際的な勧告や放射線障害防止に関する法律を厳しく守ることを進めてきました。
決してレントゲンや CT スキャン等だけを参考にして安全性を議論してきたのではありません。また、1年間の被曝量で規制値を決めても、それは1年間ずっと続く場合だけではなく、規制値を超える場合には、危険があると考えて良いということだったのです。
委員会では、半減期はもとより、元素の種類による身体への影響等極めて詳細で厳密な議論を経て決めてきたのです。
確かに国際的な基準になっている空間の線量率が1年に1マイクロシーベルトという数値、WHO が定める食品の放射性物質の量など、日本の委員会では厳しすぎるという意見があったことは確かです。
しかしわたくしたちはそのような議論を経て、現在の基準を作ってきたのです。
特に私が問題だと思うのは、3ヶ月に1.3ミリシーベルトを超える場所は「管理区域」として設定し、そこでは放射線で被爆する量を管理したり、健康診断をしたりするということをわたくしたちは厳密に守ってきました。
福島市においては瞬間的な線量率が1時間に20マイクロシーベルと程度まであがり、現在でも毎時10マイクロシーベルトのレベルにあります。この線量率は、文科省の測定方法を見ると外部被爆だけであって、規則に定める外部被曝と内部被曝の合計ではないと考えられます。
今後、内部被曝などを考えると、毎時数マイクロシーベルトの状態が2、3年は継続すると考えられます。
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一方、福島市には、幼児や妊婦も生活しておられます。また、1時間だけの被曝量を言っても、その人たちは24時間ずっと生活をしているのです。たとえ屋内にいても換気をすればあまり差はありません。
放射線障害防止規則による妊婦の被曝量の限界は毎時約0.5マイクロシーベルトですから、私達専門家は福島県の東部の多くの市町村において、妊婦等の避難を勧告する立場にあるのではないでしょうか。
現在ではむしろ政府より放射線の専門家の方が「安全だ」ということを強調しているように見えますが、むしろ放射線の専門家は国際勧告や法律に基づいて、管理区域に設定すべきところは管理区域に設定すべきといい、妊婦の基準を超えるところでは移動を勧めるのが筋ではないかと思います。
その上で、政府や自治体がどのように判断するかというのは放射線の専門家の考えるところではないとわたくしは思います。
政治家やメディアでは「国民を安心させなければいけない」と言っていますが、現実に法律で定められた規制値を超えている状態を安全といい、それで安心していいというよりもむしろ、現実をそのまま伝えて判断を社会に任せるべきと思います。
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また我々は学問的立場で考えていますので、各々の専門家に各々の考え方があることは十分に知っています。
わたくし自身が国際勧告のレベルは少し厳しいと考えている人間ですが、しかし、放射線防護に関する日本の法律も50年を経ています。その間、十分に検討を尽くされてきたのです。わたくしたちは原発問題とか社会問題とは切り離して、厳密に放射線と人体への影響を考えて発言していかなければいけないと思います。
特に核分裂生成物に汚染された土地は、長寿命半減期の元素によって線量率は直ちに下がらないと考えられます。このような場所に長く生活しなければならない子供たちのことも考えて発言をお願いしたいと思います。
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むしろわたくしたちは、福島原発の事故がもたらす新しいこと、例えば東京のようなコンクリートとアスファルトで固まったところにどのくらいの残留放射線が残るかとか、福島第一、3号機のようにプルトニウムを燃料として用いている原子炉の放射性物質の影響等を至急検討する必要があると考えています。
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2011年3月26日のあるテレビの番組を見ていましたら、今まで「安全だ」と断言していた人が「私の言っている「安全」というのは東京だけだ」と最後にご発言になったのに強い違和感を覚えました。
東京が人口も多く、重要なことはわかりますが、最も危険なのは福島県とその周辺であり、安全だと発言されるには福島県の人のことを考えなければならないと思うからです。
わたくしの経験では、原子力や放射線を扱っている方々は決して不誠実な人ではありませんでした。むしろ会議等を行っている時にわたくしは、皆さんが十分に考え放射線の身体に対する影響を少しでも減らそうと努力されていると思っていました。
その我々の専門家の雰囲気をぜひ思い出していただきたいと思っています。
(平成23年3月26日 午前9時 執筆)

武田邦彦
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